家庭の防災ガイド|地震・大雨の備えと家族の行動計画

家庭の防災は、「自宅の危険を知る」「室内でけがをしにくくする」「避難先と連絡方法を決める」「生活に必要な物を備える」の4点を、家族の事情に合わせて整えます。用品の購入と、災害時の行動の確認を一緒に進めましょう。

この記事は、地震・津波・台風・大雨に備える家庭向けの全体ガイドです。各項目を確認し、記事末のリンク先にある記入表で、家族の行動計画へつなげられます。災害が迫っている場合は、点検や荷造りを続けず、安全確保と必要な避難を優先してください。

自宅の災害リスクと、逃げる先を組み合わせる

自治体のハザードマップやハザードマップポータルサイトで、自宅周辺の洪水・土砂災害・高潮・津波の危険を調べます。色だけで判断せず、想定条件や浸水の深さ、避難先の説明も読みます。地図に色がないことだけで安全とは判断しないでください。

指定緊急避難場所は、災害の危険から逃れる場所です。指定避難所は、避難した人が一定期間滞在する施設です。同じ施設が両方を兼ねる場合もありますが、近い学校や公園がすべての災害に対応するとは限りません。災害の種類、開設情報、受け入れ条件を自治体で確認します。参考:内閣府「指定緊急避難場所と指定避難所の確保」。

確認する場面 平常時に決めること
地震で建物や周囲が危険 揺れが収まった後に安全を確かめて移動する先と経路。
津波のおそれがある より高い安全な場所、津波避難ビルなどへの経路。
大雨・台風で浸水や土砂災害の危険 危険が高まる前に移動する先と、避難を始める目安。
自宅は安全でも生活が難しい 室温、医療・介助、トイレなどに困る場合の相談先と移動先。

安全な親族・知人宅を候補にする場合も、危険の有無と受け入れを事前に相談します。経路を歩く確認は、天候と体調のよい平常時に行い、大雨の中で川や崖の様子を見に行かないでください。

地震対策は、寝る場所と出入口から点検する

  • 寝床や普段座る場所へ、家具・家電・棚の物が倒れたり落ちたりしないか確認する。
  • 家具が倒れた場合も、ドアや通路をふさがない配置を考える。
  • 家具と設置面に合う器具で固定し、取り付け方法を確認する。
  • ライトと足を保護できる履物を、手が届き取り出せる場所に用意する。

配置の見直しと固定は組み合わせて考えます。壁の表面だけでは十分に固定できない場合があるため、構造が分からなければ管理者・施工事業者へ相談してください。薄いスリッパだけで、ガラス片から足を十分に守れるとは限りません。参考:消防庁「固定する壁の確認」「家具の配置の工夫」。

中嶋観司・阿部眞理・白石照美(2023)は、2022年12月に全国の20歳以上250人へ行ったWeb調査で、家具を固定しない理由として作業の負担や一人ではできないことなどを報告しました。学会発表概要に示された調査で、固定器具の効果を実験したものではなく、現在の全世帯の状況を示すものでもありません。本記事ではこの知見も踏まえ、「誰が作業できるか」「誰へ相談するか」まで決めることを提案します。

出典:「家庭内における収納家具の所有および固定状況に対する調査」日本デザイン学会第70回研究発表大会概要集(2023)。具体的な点検は「家庭の地震対策」もご覧ください。

津波と大雨では、避難を始める判断を分ける

津波:強い揺れや長い揺れを感じたら、情報を待ち続けない

海辺で強い揺れや長くゆっくりした揺れを感じたら、海辺から離れ、より高い安全な場所へ避難します。揺れを感じなくても津波警報等が発表される場合があります。津波警報・注意報に応じた行動を取り、解除されるまで避難を続けてください。荷物や家族との合流のために危険な場所へ戻らないことを共有します。出典:気象庁「津波から身を守るために」。

大雨・台風:危険な場所から、警戒レベル4までに避難する

市区町村の警戒レベル3「高齢者等避難」では、危険な場所にいる避難に時間のかかる人とその支援者が避難します。警戒レベル4「避難指示」までに、危険な場所から全員が避難することが基本です。安全な場所にいる人まで、全員が避難所へ行くという意味ではありません。

警戒レベル5の発令を待たず、地域の危険と移動にかかる時間を踏まえて早く行動します。すでに道路が冠水するなど、屋外へ出るほうが危険な場合は、無理に遠くへ移動せず、今いる建物内のより高い場所や崖から離れた部屋など、その時点で取れる、より危険の少ない行動を考えます。ただし、緊急的な移動で安全が保証されるわけではないため、事前の早い避難を基本に考えてください。出典:内閣府「避難情報のポイント」(PDF)、気象庁「警戒レベルに応じた行動」。

2026年5月29日から、防災気象情報の名称には「レベル3大雨警報」など、警戒レベルに対応する数字が付く体系が導入されています。自治体の避難情報と、気象庁などの警戒レベル相当情報は別の情報で、発表の時点や対象地域が一致するとは限りません。避難指示がまだ出ていなくても、キキクルや河川水位などを確認して判断します。参考:気象庁「新たな防災気象情報について」。この大雨等の警戒レベルを、津波から避難する際の待機の目安には使いません。

台風の前の屋外作業は、雨風が強まる前に終える

飛ばされそうな物を室内へ移すか適切に固定し、窓・雨戸を確認します。排水口などの清掃も、危険のない平常時に行ってください。高所での作業や重い物の移動を無理に行わず、必要に応じて管理者・専門事業者へ相談します。接近中に屋根や川の確認へ出かけないようにしましょう。参考:気象庁「自分で行う災害への備え」。

室内では、ライトの点灯、充電用品、食品の調理条件を確認します。暑さ・寒さで自宅にとどまりにくい場合の移動先も考え、「夏の停電対策」「冬の停電対策」を状況に合わせて確認してください。

持ち出し品と、家に置く備蓄を分ける

持ち出し品は移動中と避難先で必要な物を、安全に運べる量に絞ります。在宅用の備蓄は、自宅で安全に生活できる場合に使う物です。大きな備蓄をすべて袋に詰めると、移動の妨げになります。

備える物 家庭で確認する目安・条件
水・食品 水は飲用・調理用として1人1日約3L。食品は最低3日分、できれば1週間分。人数、食事量、必要な食事形態に合わせる。
携帯トイレ 1人1日5回を計算の目安とし、1週間なら35回分。袋・凝固剤などの部材と使い方を確認。
照明・通信 ライト、電池、充電用品、紙の連絡先を確認。スマホの操作と緊急速報の受信設定も確認。
衛生・衣類 手指を清潔にする物、口腔ケア用品、着替え、本人が必要とする生理・介護用品など。
個人の必需品 薬・お薬手帳、眼鏡、補聴器など。薬の必要量や保管条件は医師・薬剤師へ相談。

水・食品は農林水産省の食品ストックガイドと単身者向けガイド、トイレは内閣府掲載の備蓄啓発情報を参考にしています。必要量は体調などで変わり、飲用・調理用の3Lに生活用水まで含まれるわけではありません。

食品は、停電・断水でも食べられる物を含め、普段から食べて補充します。水洗トイレは、排水管などの損傷で使えない場合もあります。流せるか確認できるまでは無理に使用しないでください。参考:神奈川県「携帯トイレを備蓄しましょう」。

費用と買い足しの計算は「費用を抑える防災対策」、スマホの設定は「災害時のスマホ節電」で詳しく確認できます。

家族それぞれの「困ること」を行動計画に入れる

年齢だけで必要な物や支援は決まりません。「階段を下りるのに時間がかかる」「特定の食品が食べられない」「電源が必要な医療機器がある」など、具体的な場面を本人と確認します。食品の選択は農林水産省の要配慮者向け食品ストックガイドも参考にできます。

  • 子ども:普段の食事、乳児用品、学校・園の引き渡し方法を確認する。
  • 支援が必要な人:移動方法、連絡先、支援者が来られない場合を相談する。必要に応じて自治体の防災・福祉窓口や普段の支援者へ相談する。
  • ペット:受け入れ先と飼育場所を確認し、フード・薬・キャリーなどを準備する。同行避難できても、人と同じ部屋で過ごせるとは限らない。

詳しい相談項目は「一人暮らし高齢者の防災」「ペットと避難するための準備」もご覧ください。医療機器の停電対策は、主治医・機器事業者と対応電源や移動先まで確認します。

決めたことを記録し、家族が使えるか確認する

避難先、連絡方法、必要な支援、備蓄の不足、次の確認日を記録します。まずライトを点灯し、持ち出し袋を持てるか、紙の連絡先を見つけられるか、平常時に安全な範囲で試しましょう。訓練のために家全体の電源を切る必要はありません。

話し合う順序は家族の防災会議チェックリスト、持ち歩く記入表は家族の防災ルールをまとめる行動カードで確認できます。家族が離れているときは各自の安全確保を先にし、危険を冒して自宅や集合場所へ戻らないルールを共有してください。

家庭防災でよくある質問

自宅に備蓄があれば、避難しなくてもよいですか?

備蓄だけでは判断できません。建物と周囲の危険、自治体の情報、室温や健康状態、必要な支援を確認し、安全が保てない場合は避難や相談を優先します。

近くの学校を避難先に決めてよいですか?

自治体の指定と災害への対応、開設・受け入れ条件を確認してから決めます。地震で使える場所でも、洪水や津波に対応しない場合があります。

見直しは半年に一度で十分ですか?

一律の間隔では決められません。定期的な確認日を決めるほか、食品・用品を使ったとき、製品の説明書で点検が求められるとき、家族の体調や住まいが変わったときにも確認します。

情報確認日:2026年10月19日。所在地の自治体の最新情報と、住まい・家族の状況に合わせて見直してください。

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