家庭の地震対策|寝室・家具固定・家族の連絡ルールを確認

家庭の地震対策は、寝る場所と出口をふさぐ物を減らす、家具を適切に固定する、家族の避難先と連絡方法を決めることから始めましょう。防災用品を買う前に、実際の部屋と家族の動き方を確かめると、優先する対策が見えてきます。

この記事では、地震が起きる前に家族で確認する手順をまとめます。すでに揺れている場合は、集合や荷物の回収のために移動せず、まず身の安全を確保してください。

寝室は「倒れる方向」と「出口までの道」を確認する

ベッドや布団に横になった位置から室内を見て、家具が倒れる範囲、棚から物が落ちる範囲を確認します。寝る場所と出入り口の周りに背の高い家具を置かない配置を検討し、重い物は低い位置へ移します。家具の移動は無理に一人で行わず、手伝いを頼みましょう。

確認する場所 家族で試すこと
寝る場所 頭や体の上に、家具・額・収納物が倒れたり落ちたりしない配置にする。
部屋の扉 家具が倒れた場合を想像し、扉がふさがれないか確認する。
廊下と玄関 床の荷物を片づけ、家族が通れる幅を確かめる。杖や歩行器を使う人は実際に通ってみる。
手が届く位置 ライト・眼鏡・履き慣れた靴を置き、暗い場所でも取り出せるか確認する。

床にガラスが散っているときは、裸足で歩かないでください。スリッパや靴を履けば必ず安全になるわけではないため、明かりで足元を確認し、破片を踏まない経路を選びます。

参考:東京消防庁「自宅の家具転対策」「地震に対する10の備え」

家具固定は、器具と取り付け先の条件を確認する

家具を壁際に置くだけでは、転倒防止の対策にはなりません。配置を見直したうえで、家具の種類・重さと、壁や天井の強度に合う器具を選びます。壁のどこにでもネジを打てるわけではありません。

  • 取り付け前に、器具と家具・家電の説明書を読む。固定する位置や使える材質を確認する。
  • テレビなどは本体だけでなく、載せている台も確認する。食器棚は扉が開いて中身が散乱する対策も考える。
  • 賃貸住宅で穴を開ける場合は、事前に管理会社や所有者へ確認する。穴を開けない器具も、設置条件や組み合わせを確かめる。
  • 取り付け先の強度が分からない、作業が難しい場合は、施工業者や自治体の相談窓口に確認する。

器具を付けたら終わりにせず、模様替えの際などに、緩み・ずれ・劣化を確認しましょう。建物自体の耐震性が不明な場合も、家具固定と分けて耐震診断について相談します。

参考:総務省消防庁「地震による家具の転倒を防ぐには」、東京消防庁「自宅の家具転対策」

研究から考える、対策を進めるための工夫

中嶋観司・阿部眞理・白石照美による2023年の学会発表は、2022年12月に全国の20歳以上250人へ行ったWeb調査です。家具を固定しない理由として、面倒さや必要性の認識に加え、一人では作業できないという回答が報告されています。

これは特定の器具の効果や、日本の全家庭の状況を示す調査ではありません。本記事では、この結果を踏まえ、購入リストだけでなく「誰と作業するか」「難しいときは誰に相談するか」まで決めることを提案します。

出典:中嶋観司ほか「家庭内における収納家具の所有および固定状況に対する調査」日本デザイン学会研究発表大会概要集、2023年、DOI: 10.11247/jssd.70.0_168(会議録・要旨集)。

家族のルールは「揺れている間」と「その後」を分ける

揺れている間は、集まるより先に身を守る

丈夫な机の下など、物が落下・転倒・移動してこない場所で身を守り、揺れが収まるのを待ちます。家族を探して部屋を移動したり、慌てて外へ飛び出したりしないことを、子どもにも短い言葉で伝えておきます。

火の始末や出口の確保は、揺れが収まってから安全にできる範囲で行います。家族のけが、火災、建物や周囲の状況を確認し、自治体や気象庁などの情報を確かめてください。

参考:東京消防庁「地震 その時10のポイント」

避難先は、地震・津波・火災それぞれの危険で選ぶ

近所の学校や公園が、どの災害でも安全とは限りません。自治体のハザードマップで、自宅周辺の危険と、その災害に対応した指定緊急避難場所を確認します。

「指定緊急避難場所」は危険から命を守るための場所、「指定避難所」は被災した人が一定期間滞在する施設です。同じ施設が両方を兼ねる場合もありますが、役割を区別して確認してください。

海辺で強い揺れや長くゆっくりした揺れを感じたら、津波警報を待たず、より高い安全な場所へ避難します。津波警報を見聞きした場合も速やかに避難してください。家族がそろうのを待つ、荷物を取りに戻るなどで避難を遅らせないことを約束しておきましょう。津波は川をさかのぼることもあるため、川沿いの浸水想定も確認が必要です。避難後も警報・注意報が解除されるまで避難を続け、海岸へ戻らないでください。

参考:内閣府「避難場所に関すること」、気象庁「津波から身を守るために」

電話がつながらないときの連絡を、平常時に試す

家族で使う災害用伝言ダイヤル(171)などを決め、登録に使う電話番号と操作方法を共有します。「無事か」「今いる場所」「次に向かう場所」を伝える練習をしておくと、必要な情報を短くまとめられます。

171は毎月1日・15日などに体験利用できます。日程や条件はNTT西日本の体験利用案内で確認し、録音する人と再生する人の両方を試しましょう。

合流先は災害ごとの安全を確認して候補を決め、そこへ行けない場合の連絡方法も用意します。子どもの引き取りは、学校・園の方針を家族で共有してください。

備蓄は人数と、家族が普段必要とする物から考える

飲料水と調理用の水は1人1日おおむね3リットル、食品は最低3日分、できれば1週間分を目安にします。4人家族の水を3日分用意するなら、3リットル×4人×3日=36リットルです。これは全量を背負って避難するための量ではありません。

自宅で使う備蓄と、避難時に持ち出す物を分け、持ち出し袋は実際に背負って重さを確認します。水や食料に加え、携帯トイレ、照明、充電手段も確かめましょう。

乳幼児の食事やおむつ、食物アレルギーに対応した食品、眼鏡・補聴器など、代わりが見つかりにくい物は家庭ごとに違います。薬や在宅医療機器を使う人は、薬の備えや停電時の対応を平常時に主治医・薬剤師・機器事業者へ相談してください。

参考:農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」、福岡県「在宅で医療機器を使用している方の停電への備え」

備蓄の優先順位は「お金をかけずに始める防災対策」、ペットの準備は「ペットと避難するための準備」で詳しく説明しています。

今日、家族で確認するチェックリスト

  • 寝る場所に家具や収納物が倒れないか、実際の位置から確認した。
  • 部屋の扉から玄関までを歩き、通路をふさぐ物を減らした。
  • 固定したい家具を一つ選び、器具の条件と作業を頼む相手を確認した。
  • 自治体の地図で、災害に合う避難先と経路を確認した。
  • 家族が別々にいる場合の連絡方法を決め、練習する日を決めた。

一度に終える必要はありません。今日は寝室を一緒に見て、次に取り組む項目と担当する人を決めてみてください。

家庭の地震対策でよくある質問

家具を固定すれば、配置はそのままでよいですか?

配置も確認が必要です。器具の効果は設置条件などによって変わるため、寝る場所や出口を家具の転倒範囲から外す工夫を併せて行います。

家族が連絡できるまで、自宅で待つべきですか?

津波や火災などの危険がある場合は、連絡や合流を待たず避難を優先します。安全な場所へ移った後の連絡方法を、事前に決めておきましょう。

地震が起きたら、必ず避難所へ行くのですか?

一律には決められません。建物や周囲の危険、自治体の情報、家族の体調・生活条件で判断します。津波などの危険が迫る場合は、その災害に対応する安全な場所へ速やかに避難してください。

情報確認日:2026年10月16日。避難場所・支援制度・サービスの利用条件は、お住まいの自治体や提供元の最新情報をご確認ください。

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