
夏に停電してエアコンが止まったら、家族の体調を確認し、体を冷やしながら涼しい場所を確保します。自宅で暑さを避けられないときは、体調が悪くなる前に移動先へ連絡してください。意識がおかしい、自力で水分を飲めないなどの場合は119番です。
この記事では、家庭での夏の停電について、熱中症への対応、冷房が使える場所の確認、食品の管理、事前の備えをまとめます。地震・津波・火災・浸水などの危険がある場合は、その危険から離れる行動を優先してください。
停電直後は、家族の体調と安全を確認する
暗い場合はLEDライトで足元を照らし、家族のけがや体調を確認します。暑い室内では、高齢者や乳幼児、自分で移動や水分補給をしにくい人の様子を早めに確かめましょう。
| 状況 | 取る行動 |
|---|---|
| 呼びかけへの反応がおかしい、意識がない、自力で水が飲めない、けいれんがある | すぐに119番。安全にできる範囲で涼しい場所へ移し、救急隊を待つ間も冷やす。無理に飲ませない。 |
| めまい、立ちくらみ、筋肉のつり、強いだるさなどがある | 涼しい場所で休み、衣服をゆるめて冷やす。意識がはっきりし、吐き気がなく、自分で飲める場合は水分補給。改善しない、様子がおかしい、判断に迷う場合は119番。 |
| 症状はないが、室内の暑さを避けられない | 体を冷やしつつ、冷房が使える場所と移動方法を確認する。復旧を待って我慢し続けない。 |
反応がなく、普段どおりの呼吸がない場合は、119番の指示に従って胸骨圧迫などの救命処置を行います。厚生労働省「熱中症が疑われる人を見かけたら」と日本赤十字社「熱中症」を基に整理しています。
エアコンが使えないときに体を冷やす方法
冷たいタオルや保冷剤を使い、暑い場所から離れる
衣服をゆるめ、冷たいタオルや保冷剤などで首の周り、わきの下、足の付け根を冷やします。濡らした皮膚にうちわなどで風を送る方法もあります。保冷剤などは製品の使い方を守り、皮膚を傷めないようにしてください。
日差しが入る窓ではカーテンやすだれを使い、室温を確認します。窓を開けるのは、暴風雨・落下物などの危険がなく、風を通せる場合に限ります。風や冷却用品だけで暑さをしのげないときは、冷房が使える場所への移動を考えましょう。参考:厚生労働省「熱中症を防ぎましょう」
水分はこまめに。飲めない人へ無理に飲ませない
普段の予防では、のどが渇く前から水分をこまめに取ります。熱中症が疑われ、本人が安全に飲める場合は経口補水液などを使います。ただし経口補水液を一度に大量に飲むことは避け、腎臓・心臓の病気などで水分や塩分について指示がある人は、医師の指示に従ってください。
飲み物を準備するだけでなく、「自分で飲めているか」「受け答えはいつもどおりか」を確認します。子どもや高齢者は本人の「大丈夫」という言葉だけで判断せず、周囲が様子を見守りましょう。
涼しい場所へ移動する前に確認する3点
親族・知人宅、自治体が案内する施設など、冷房が使える場所を候補にします。環境省のクーリングシェルター・リンク集から地域の情報を探せます。クーリングシェルターは、市町村が暑さをしのぐために指定する施設です。
- 利用できるか:開放日・時間、受入条件、停電の影響を確認する。指定施設でも、いつでも開いているとは限りません。
- 安全に移動できるか:道路の浸水、暴風、日差し、移動距離を確認する。歩行や介助が必要な人は、移動手段と支援者を先に相談します。
- 何を持つか:水、常用薬、お薬手帳、携帯電話、充電器など、本人に必要な物を用意する。
公共施設や避難所も停電している場合があります。施設名だけで判断せず、自治体や施設の最新案内で冷房の稼働と利用状況を確かめてください。体調不良で安全に移動できない場合は、無理に歩かせず救急要請を判断します。
在宅で人工呼吸器などを使う家庭では、予備電源の持続時間と受入先を主治医・機器事業者と事前に相談し、停電時は決めておいた連絡先へ早めに連絡します。参考:福岡県の在宅医療機器の停電対策
ペットを連れて移動する場合は、動物の受入条件を確認してください。ペットと避難するための準備・持ち物に確認項目をまとめています。
冷蔵庫の食品は、においや見た目だけで判断しない
冷蔵庫・冷凍庫の扉は、必要なとき以外は開けないようにします。停電が始まった時刻を控えておくと、保存状態を振り返る手掛かりになります。
農林水産省は、扉を開けない場合の低温保持を冷蔵庫で約4時間、冷凍庫で約1~2日間の目安としています。ただし気温や食品量で変わり、その時間内なら安全という保証ではありません。傷みやすい肉・魚・惣菜などは目安を超えたら廃棄し、要冷蔵・要冷凍の食品で適正な保存温度を保てなかったものは食べずに処分します。完全に溶けた冷凍食品の再冷凍も避けます。出典:農林水産省「停電や断水、大雨による浸水に遭われた地域の皆様へ」
食中毒菌が増えても、見た目やにおいが変わらないことがあります。「におわない」「期限内だから」という理由だけでは判断できません。保存状態が分からず安全性に不安がある食品は食べないでください。出典:小樽市「停電時に保管していた食品による食中毒を予防しましょう」
普段から、常温で保存でき、加熱せず食べられる食品を備えておくと、冷蔵食品を無理に消費する必要を減らせます。乳幼児用、アレルギー対応、療養食なども、家族に合わせて確認しましょう。
照明・電源の使い方で別の事故を防ぐ
- 照明:暗い場所の移動にはLEDライトを使い、携帯電話の電池も連絡用に残します。
- 電気設備:浸水・損傷した分電盤、コード、家電には触れません。復旧時の火災を防ぐため、安全に操作できる場合は電熱器具のプラグを抜き、避難時は余裕があればブレーカーを切ります。
- 発電機:屋内・車内・テント内では使えません。屋外でも窓や出入口から離れ、排気が入り込まない風通しのよい場所で、説明書に従って使います。
- 予備電源:ポータブル電源は容量だけでなく、対応する出力・機器・使用条件を確認します。エアコンを長時間動かせると決めつけず、涼しい移動先も用意します。
参考:消費者庁「停電時の発電機によるCO中毒や、復旧後の通電火災に注意」
夏の停電前に、家族で確認しておくこと
| 準備 | 確認する内容 |
|---|---|
| 水・加熱不要の食品 | 家族が飲食できる種類、期限、持ち運べる分を確認する。 |
| 保冷剤・タオル・うちわ | 置き場所と使い方を共有する。冷却用品がなくなる場合も考える。 |
| LEDライト・充電器 | 点灯、充電残量、必要なケーブルを確かめる。 |
| 涼しい移動先 | 候補、開放条件、連絡先、移動手段を紙にも控える。 |
| 薬・医療機器・介助 | 本人の状態に合う対応と、連絡する順番を相談する。 |
水・食料・携帯トイレの備蓄量や、費用をかけずに始める確認は、防災の無料チェックと備蓄の優先順位を参考にしてください。
研究から見える、冷房と冷蔵庫への備え
安岡ほか(2022)の停電経験者への調査では、冷房停止による暑さや健康への不安、食品保管の困りごとが挙げられています。本記事では、涼しい移動先と常温食品を一緒に準備することを提案します。調査の知見を応用した提案で、個別の対処法の安全性を保証するものではありません。安岡絢子ほか「住宅のエネルギーに関するレジリエンス向上に向けた調査」人間–生活環境系シンポジウム報告集46、141–144頁(2022)
夏の停電でよくある疑問
扇風機やうちわだけで過ごせますか?
風を送る方法は体を冷やす助けになりますが、室温・湿度・体調によっては十分ではありません。暑さを避けられなければ、冷房が使える場所へ移動する判断が必要です。
冷蔵庫が復旧すれば、食品はまた安全になりますか?
再び冷えても、停電中の保存状態が元に戻るわけではありません。適正な保存温度を保てなかった食品や、安全性に不安がある食品は食べないようにします。
停電したら、必ず避難所へ行くべきですか?
一律には決められません。自宅で暑さを避けられるか、家族の体調、道路の安全、施設の開設・冷房の状況を確認します。体調が悪化している場合は、一般の避難先を探す前に救急対応を優先してください。
今日できることは、涼しい移動先を一つ確認すること
夏の停電では、体を冷やす用品と水を用意し、冷房が止まった場合に行ける場所を決めておきます。まず候補を一つ調べ、家族で連絡先と移動方法を共有しましょう。食品は保存状態で判断し、危険な発電機の使い方を避けることも大切です。
情報確認日:2026年10月16日。公的機関・自治体・研究資料を本文に記載しています。施設の利用状況や停電情報は、その時点の自治体・電力会社の案内を確認してください。












