
家庭の災害備蓄は、人数と日数から必要量を計算し、今ある在庫を引いて準備します。水・食品は最低3日分、できれば1週間分を目安に、トイレ用品と本人に欠かせない物も一緒に確認しましょう。この記事では、買い物に使える数量表と食事の組み立て方を紹介します。
家庭用備蓄と持ち出し品の目的を分ける
家庭用備蓄は、自宅などで生活を続けるための物資です。一方、持ち出し品は、安全な場所へ移動するときに必要な物を運べる量にまとめたものです。自宅に危険がある場合は備蓄があっても避難を優先し、すべての物資を持ち出そうとしないでください。
水・食料・携帯トイレの必要量を計算する
農林水産省の食品ストックガイドでは、食品の備蓄を最低3日分、できれば1週間分としています。飲用・調理用の水は1人1日おおむね3Lが目安です。トイレは経済産業省の案内にある1人1日5回、1週間35回を計算の出発点にします。
| 人数 | 水:3日/7日 | 食事:3日/7日 | トイレ:3日/7日 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 9L/21L | 9食/21食 | 15回/35回 |
| 2人 | 18L/42L | 18食/42食 | 30回/70回 |
| 4人 | 36L/84L | 36食/84食 | 60回/140回 |
食事は1人1日3食で計算した回数で、人数分の食事を組み立てるための目安です。1食分が食品1個とは限りません。トイレの回数は個人差があるので、普段の回数や体調に合わせて調整します。水の3Lには洗濯・入浴・トイレ洗浄などの生活用水やペットの分を含めません。
献立を1日分作ると、不足する食品が分かる
主食だけで数量を満たすより、主菜となる肉・魚・豆類などと、副菜・果物などを組み合わせると食事を考えやすくなります。保存条件と調理方法を見て、「電気・ガスが使えなくても食べられる1日分」を紙に書いてみましょう。
| 食事 | 組み合わせの例 | 確かめること |
|---|---|---|
| 朝 | 常温保存できるパン+常温保存の豆乳等+果物の缶詰 | 開封後に食べ切れる量か |
| 昼 | そのまま食べられる表示の主食+魚や豆の缶詰 | 加熱が必要な製品が混じっていないか |
| 夕 | そのまま食べられる表示の粥等+常温保存のおかず+野菜の副菜 | 量・食感・味が本人に合うか |
上の表は組み合わせ方の例で、栄養量を算定した献立ではありません。食べる量、アレルギー、かむ・飲み込む力、療養上の食事制限に合わせて選びます。乳児用のミルクや離乳食などは普段使う製品の表示に従い、別に準備してください。
調理に必要な水・燃料も数える
乾麺や乾燥食品を多く備える場合は、戻し水、ゆで水、加熱時間が必要です。1回だけ普段の食事で作り、どの程度の水と燃料が必要か確認すると、食品だけが余る状態に気づけます。燃料の使用量は器具や気温、料理で変わるため、家庭共通の本数にはできません。
カセットこんろは説明書に従って換気し、対応するボンベを正しく装着します。大きな鍋でこんろを覆ったり、2台を並べたりしないでください。NITEの使用上の注意を確認し、熱源が使えない場合の食品も残しておきます。
在庫を引いて、不足分だけ買い足す
| 品目 | 目標量 | 現在量 | 不足・補充日 |
|---|---|---|---|
| 飲用・調理用の水 | 3L×人数×日数 | L | L/ 月 日 |
| 食品 | 家族の献立×日数 | 食事を組める日数: 日 | 不足する主食・おかず: |
| 携帯トイレ | 普段の回数×人数×日数 | 回分 | 回分/ 月 日 |
| 個別の必需品 | 薬・衛生用品・介護用品等 | 残量・使用期限: | 相談先・補充日: |
普段の食品を多めに買い、古いものから食べて補充する方法をローリングストックといいます。保管場所に「残しておく量」を書き、使った分を買い物メモへ移すと、日常で食べた後の買い忘れに対応できます。収納場所は直射日光・高温を避け、製品の条件を守ります。
トイレは水を流せるかの確認までが備え
地震では排水管や下水道の損傷も考えられます。集合住宅で安全を確認せず水を流すと、下階へ汚水が漏れるおそれがあります。神奈川県の案内を参考に、管理会社等の確認方法を決め、使えないときは携帯トイレを利用します。使用済みの袋は自治体の案内に従って処理してください。
延原ほか(2016)の備蓄状況の研究発表要旨では、防災講習会等での調査でも2~3日程度の備蓄という回答が多く、1週間以上は少数でした。防災意識が高い参加者に偏る可能性があり、現在の全国の備蓄率を示す資料ではありません。「備えているか」に加えて「何日分使えるか」を数える参考にします。
よくある疑問
3日分あれば買い足さなくてもよいですか?
3日分は出発点です。1週間分を目指し、地域の想定や家庭の事情に合わせて備えます。3日で支援や物流が必ず届くという意味ではありません。
冷蔵庫の食品も備蓄に数えられますか?
日常在庫として確認できますが、停電すると保存条件を保てなくなります。常温保存できる物と分けて数え、冷蔵庫だけに頼らない量を用意します。
今日やること
家族の人数で水とトイレの目標量を計算し、在庫表の最初の2欄を埋めましょう。補充を続ける工夫は買い物や食事に組み込む防災習慣、ライトや充電なども含めた全体像は家庭の防災チェックで確認できます。
参考資料
- 農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」
- 農林水産省「災害時にそなえる食品ストックガイド 単身者向け」
- 内閣府広報誌掲載・経済産業省「トイレ備蓄忘れていませんか?」
- 神奈川県「携帯トイレを備蓄しましょう」
- NITE「携帯発電機・カセットこんろ・モバイルバッテリーの使用にご注意ください」
- 延原理恵ほか(2016)「家庭における災害時用備蓄の状況に関する調査」日本家政学会研究発表要旨集68回大会
資料確認日:2026年10月20日。地域の避難先・支援条件や製品の注意事項は、自治体・メーカーの最新情報をご確認ください。











